日本史教育に対する放言

「神武天皇」復活論

日本史の教科書に、初めて「天皇」という称号を贈られた人物が登場するのが、古墳時代です。陵墓の話題だったり、ワカタケルや倭の五王の話題だったりするわけです。 ふつうに授業を進めていたら、皇国史観教育で花形だった、「神武天皇」も「日本武尊」も「…

古墳時代像は見直せているか?

私が人生で最も影響を受けた本は、イブン・ハルドゥーンの『歴史序説』でもなく、リュシアン・フェーヴルの『歴史のための闘い』でもなく、北條芳隆・溝口孝司・村上恭通『古墳時代像を見直すー成立過程と社会変革』(青木書店, 2000年)だ、と言ったら大袈…

弥生文化を選ばなかった人々への視点

ここまで、日本列島の旧石器時代の文化は「岩宿文化」と呼ぶべきかもしれない、「縄文文化」ではなく「大森文化」と呼ぶべきだ、と言いたい放題でしたが、「弥生文化」は、その最初に発見された弥生町遺跡から名前を採っており、命名自体に不満はありません…

「縄文時代」?「大森時代」?「長い」?「最古の土器」?

埼玉で行われた歴教協全国大会の現地見学の古墳コースでは、途中、群馬県立歴史博物館を見学しました。 その際にみた土器の中に、吉ヶ谷式土器、という埼玉の弥生土器があります。 この土器、縄文があるのが特徴なんですよね。 縄文が施されている弥生土器は…

「旧石器時代」?「岩宿時代」?それとも・・・

※文末に「日本史の授業でLet's対話!!」あり(2019年8月15日加筆) 埼玉で行われた歴教協全国大会の最後は、現地見学。地域の教材となりそうな見所をめぐるツアーです。私はその中で、群馬・埼玉の古墳コースを担当しました。 古墳とは関係ないのですが、途中…

元号・西暦でなく〜保立道久案からの思考実験〜

今回は、とある問題提起について真面目に捉えつつ、最後にちょっと遊びたいと思います。 私たちは西暦(キリスト紀年)と元号と干支("干"の方はほとんど用いられないが)によって年を表すことが多いですが、Twitterやブログで盛んに西暦でも元号でもない紀…